理解
彼は盲目であった。しかし、彼は盲目であることに自覚がなかった。彼は目が見えない代わりに、手で対象に触れる事で対象の形を理解出来てしまっていたからだ。彼はなんでも理解出来ると自負していた。
ある日、彼は私の事を理解しようとした。彼は私を叩き、引きちぎり、こねくり回した後、嬉しそうな顔でこう言った。「これは猫だ。」
かつて人の形をしていた私は確かに猫の形に作り変えられてしまっていた。猫の形になってしまったので、私は仕方なく潰れてしまった声帯で、血を吐きながら「にゃーん」と泣くことにした。
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ざわです。ポエム(ショートショート)を書きたくなったのでポエムを書きました。他者理解の残酷さについて書いてみました。